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新刊
読むことの歓び
明治大学文学部第一回読書感想文コンクール優秀賞作品集
明治大学文学部読書感想文コンクール選考委員会
2009年12月19日刊行
定価 1470円(本体1400円+税)
四六判 ハードカバー
212頁
ISBN 978-4-904205-06-8
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はじめに より引用
文学部読書感想文コンクール選考委員長 齋藤 孝
読書するとは、他者を自分の中に住みこませることによって自分を広げ、豊かにする行為だ。
今までの自分が理解できなかったことを本を通して理解する。その時それまで自分とは無関係だった世界や人々が自分の一部のように思えてくる。
たとえば、ルワンダの大虐殺を生き抜いた体験をつづったイマキュレー・イリバギザさんの『生かされて。』という本を読む。トイレで九十一日間隠れ続け生き抜いた話を肉声で聞く思いで読んでいると、ルワンダが自分の心の中に入ってくる。身内を殺される悲劇を乗り越えて人をゆるす大切さを訴えるイリバギザさんの心も自分の一部として残る。
そんな読書の感動や喜びを、より明確に刻印するのが、感想文を書くということだ。自分の中に新たな世界が開け、今まで存在しなかった他者が住みこむことを祝い、忘れないようにする精神の儀式が、読書感想文だ。
ただのあらすじや、本の解説文の引き写し、ましてネットからのコピー&ペーストなどは、精神の儀式ではない。したがって読書感想文とはいえない。
他者と自分が出会えたことを祝い、刻印することで、人は明確に成長する。
読むことで、自分の世界は広がる。しかし、読みっぱなしでは、「わかったつもり」でごまかせてしまう。書くとなると、理解の深さが問われ、自分自身の読みのレベルが露呈する。
書くことで初めて、考えはくっきりとした形を持つ。「いやーなんとなく、わかってるんだけど言葉にはしにくいなぁ」などといった言い訳は通用しない。それが「書く」という行為の厳しさだ。
今回のコンクールには、書く行為の厳しさにあえて自ら挑み、本という他者との出会いの喜びを表現し、より多くの他者にその体験を伝えようとする志ある人たちから多くの作品が寄せられた。作品を書いたことで、読書体験が形となり、今後の人生を勇気づける宝となることを感謝とともに祈念したい。
本書は4000部印刷され、全国つつうらうらの図書館、高校などに配布の予定です。また発刊にあたり全国の三省堂、紀伊國屋書店さまの賛同をいただき、告知ポスターの掲示をしていただきました。
インターネットの時代ではありますが、読書と読書感想文の意味を今一度かみしめるきっかけになる本であると確信します。